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資料一覧 | mipro(ミプロ) 一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会

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(1)

一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会

輸入ビジネスと

知的財産権の基礎

(2)

はじめに

監修:

弁護士 得重 貴史

(とくしげ たかし)氏

2011 年 弁護士登録

2015 年 カリフォルニア州立大学バークレー校ロースクール留学(客員研究員)

現在、インターネット上の輸入販売事業者、ライセンスビジネスの事業者などのクライアントをサポート。 中山国際法律事務所所属

 ミプロでは輸入ビジネスを行う上で必要となる知識(交渉、発注、代金決済、通関手続き、輸入・ 販売法規制など)について、相談業務、セミナー開催、参考資料の作成等を行い、特に小口輸 入事業(販売を目的とした小規模での業務輸入)に対して積極的なサポートを行っています。  知的財産権につきましても「知らなかったということで権利を侵害してしまうリスクを低減 するために…」をコンセプトにしてテーマを定め、セミナーを開催し資料を作成して参りました。  たとえば「並行輸入」をご理解いただくためには「商標権とはなにか」というような知的財 産に関する基礎知識が必要となりますが、本冊子ではミプロが提供するセミナーや資料をご利 用いただく際にご参照いただきたい基本的な情報を Q & A 形式でまとめたものです。知的財産 の保護のかたちには国の政策が大きく係わりますし、国際的な潮流も大きな影響を及ぼします。 また、知的財産においては権利化、管理、模倣品対策、権利侵害など多くの課題やリスクがあ

ります。本冊子では日本での知的財産保護政策の背景となる関連情報とともに、「輸入ビジネス」

という観点にしぼって権利や法律について解説しています。

 法的観点からはミプロ知的財産権セミナーにおいて講師をお願いしている 中山国際法律事 務所 弁護士 得重 貴史 氏に監修を頂きました。また、本書の作成にあたり多くの方々に ご指導、ご協力を頂きました。厚くお礼申し上げます。

 内容につきましては法律的な正確さよりもわかりやすさを優先しておりますので、あくまで も参考情報としてご利用いただきたく、具体的に法的手続き等が必要な場合は弁護士など専門 家にご相談下さい。

 本資料が輸入ビジネスにおける知的財産権侵害リスクを避けるための一助となれば幸いです。

(3)

Ⅰ.知的財産権の概要

Q1  知的財産権とは何ですか ……… 4 Q2  知的財産をめぐる国際的な状況について教えてください ……… 5

コラム「地理的表示(GI)の保護について」

Q3  日本では、どのような知的財産権がありますか ……… 7 Q4  日本において知的財産権はどのような法律によって保護されていますか ……… 8 Q5  知的財産権侵害物品に対する輸入時の取締りについて教えてください ……… 10

コラム「輸入差止申立制度について」

Q6  知的財産権侵害物品に対する販売時の取締りについて教えてください ……… 12

コラム「インターネットでの不正商品流通に対する取組み」 「『民事』と『刑事』のちがい」

Q7  日本の「知的財産戦略」とは何ですか ……… 14

Ⅱ.知っておきたい知的財産権の基礎知識

Q8  知的財産権について学ぶ前に知っておきたい法律の基礎的な用語について教えてください ……… 15 Q9  商標権について教えてください ……… 16

コラム「登録商標を特許情報プラットフォーム J-PlatPat(ぷらっとぱっと)で調べてみましょう」 「怠ると『過失』となる『輸入事業者としてなすべき注意』とは」

「権利侵害と商標的使用について」 「® 表示、TM 表示について」

Q10 意匠権について教えてください ……… 20

コラム「留意したい商品デザインを保護する知的財産関連法規について」 「意匠権侵害の疑いによる税関での差止め」

Q11 特許権について教えてください ……… 24

コラム「実用新案権とは」

Q12 著作権について教えてください ……… 26

コラム「音楽レコードの還流防止措置について」 「海外の著作物の保護について」

Q13 不正競争防止法について教えてください ……… 30 Q14 知的財産権を侵害した場合に受けるかもしれない刑事罰について教えてください ……… 34

(4)

Ⅲ.輸入販売に関わる知的財産の留意点について

Q15 並行輸入とは何ですか ……… 35

Q16 並行輸入する場合に、留意すべき点について教えてください ……… 36

Q17 輸入販売したい商材を見つけたら、どのような手順で知的財産権リスクについて検討すればよいでしょう … 38 Q18 そもそも不正商品とはどのような商品をいうのでしょうか ……… 39

Q19 商品別に、注意すべき知的財産権について教えてください ……… 40

コラム「パブリシティ権について」 Q20 特許情報プラットフォーム J-PlatPat(ぷらっとぱっと)について、教えてください ……… 42

Q21 商品を仕入れる際の契約において、知的財産権に関する留意点を教えてください ……… 43

Q22 ブランドライセンス商品を輸入販売する際に留意すべき点はありますか ……… 44

コラム「独占的通常使用権について」 Q23 継続して同じ商品を輸入販売していきたいと考えていますが、先行者としての利益を守るために知的財産権 はどのように役立ちますか ……… 47

Q24 インターネットを利用して仕入れや販売をする際、留意すべき知的財産権侵害リスクについて、教えてくだ さい ……… 48

Q25 販売していた商品は商標権を侵害しているので、販売を差止めるよう警告書を受取りました。どうしたらよ いでしょうか ……… 50

巻末資料

1.知的財産権に関する情報・相談先……… 51

2.税関で行われる認定手続きの一般的な流れ……… 53

3.商標法における商品及び役務の区分……… 54

4.著作権法に含まれる権利の種類……… 55

5.著作物が自由に使える場合……… 57

◆よくある Q & A

(5)

「財産」というと預金や不動産がまず頭に浮かびますが、現代の市場経済の中では具体的な形や量とし て捉えきれないものが経済的に重要な価値を持つようになっています。このような、知的活動によって 創造された無形の財産を「知的財産」といいます。

 知的財産が第三者に無断で利用されることにより、個人や企業などが得るべき利益が損なわれること、結果とし て創造意欲や信用を維持する努力の低下がもたらす経済への影響が、問題視されています。知的財産を創造した者 に独占権を与え、「知的財産権」として保護し、またそれを活用することにより、経済活動の発展と競争力の強化 をはかることは、今や国家レベルで重要な課題であると考えられています。

 知的財産に対する独占的な権利をどのように付与して保護するのか、原則としてその考え方は各国の政策上の問 題であり、保護のあり方を定める法律も国ごとに異なります。

 輸出する場合には、相手国の知的財産権の状況とその保護法について確認する必要があります。輸入する場合に はまず、取扱商品について日本ではどのような知的財産権が存在しているのかを確認し、それを侵害するリスクに ついて検討します。

 一方無形の知的財産権は容易に国境を越えて流通していきます。国際的な知的財産権の保護と活用を求めるなら ば、国家間の制度を調和させましょうという動きも当然生じます。国際的な制度の調和動向は、日本での知的財産 権制度に大きな影響を与えていることにも留意しましょう。

Q

1

知的財産権とは何ですか

A1

Ⅰ.知的財産権の概要

知的財産権とは?

その 1 多くの国で、権利の保護と活用によって自国の競争力を高める動きを強めています その 2 権利の付与と保護の方法は、原則として国ごとに決められています

(6)

知的財産は原則、国ごとに異なるしくみや手続きによって権利化され、法的な保護の対象となります。 ですから権利を得た国でのみその効力が生じる、つまり属地主義といわれるかたちを採っています。し かし無形である知的財産権の流通はより容易に、より迅速に国境を越えてしまいます。経済のグローバル化が始ま る中でその保護制度が国ごとに異なっていることに不都合が生じてきたことから、19 世紀頃より国際的な調和(ハー モニーゼーション)への取組みが始まりました。

 そして近年では、先進国と途上国との間に横たわる南北問題が浮上したこともあり、知的財産権に関するルール づくりを貿易問題のひとつとして、総括的に交渉しようとする動きが出てきました。

 さらに現在に至っては、さまざまな利害関係が交差する多国間協議の行き詰まりを打開する手段として、二国間、 あるいは一定地域内を交渉の場として合意事項について協定を結ぶかたちが、知的財産権制度の国際調和への動き とは別に広がっています。

●知的財産に関する主な国際条約について

【パリ条約】

 国際博覧会に出品する発明品の知的財産保護が保証されないことを理由に出品を躊躇する参加国の声が契機とな り、1883 年に特許権、商標権など工業所有権の保護に関するパリ条約が採択されました。※工業所有権に関する基

本となる条約です。

 パリ条約では、以下 3 つの原則を定めています。

①内国民待遇の原則(第 2 条)

同盟国の国民は、当該国で定められた条件及び手続に従う限り、当該国国民と同一の保護を受け、権利の侵害に 対しても同一の法律上の救済を与えられる。

②優先権の原則(第 4 条)

いずれかの同盟国において正規に特許出願もしくは実用新案、意匠若しくは商標の登録出願をした者などは、他 の同盟国において出願することに関し一定の期間中優先権を有する。

③特許独立の原則(第 4 条)

同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は、他の国において同一の発明について取得した特許から独立し ており、その無効又は消滅の理由についても相互に影響を受けない。

※ パリ条約における工業所有権とは、特許、実用新案、意匠、商標、サービス・マーク、商号、原産地表示、または原 産地名称及び不正競争の防止に関するものが含まれます。

【ベルヌ条約】

 著作権の国際的保護に関するベルヌ条約は 1886 年に締結されました。主に次のような原則が掲げられています。

①内国民待遇の原則(第 5 条)

著作者は、この条約によって保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国国民に与えられる権利及 びこの条約が特に与える権利を享有する。

②無方式主義(第 5 条)

著作権の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。 など

【WIPO(世界知的所有権機関)】

 1967 年の「世界知的所有権機関を設立する条約」(WIPO 設立条約)の施行により 1970 年に設立されました。 4 年後には国連の専門機関となり、多数の参加国の間で合意を形成していくかたちで知的財産権保護の国際的なルー ル作りを行ってきました。

Q

2

知的財産をめぐる国際的な状況について教えてください

A2

(7)

 しかしプロパテント政策を進めるアメリカを中心に、ルール違反に対してより強い実効力をもつ新たな交渉の場 を求める声が高まり、知的財産権をめぐる交渉は、貿易交渉の一環として行われることが増えています。

 WIPO はスイス・ジュネーブに本部を置き、2017 年 3 月現在 世界 189 ヵ国が加盟しています。そしてパリ条約、 ベルヌ条約に基づく同盟の管理業務のほか、国際的な権利出願制度となる PCT 制度(特許権)、マドリッド制度(商 標権)、ハーグ制度(特許権)といったサービスの提供を行っています。

【TRIPS 協定(知的財産権の貿易関連の側面に関する協定)】

 1995 年に WTO(世界貿易機関)において TRIPS 協定が発効され、貿易交渉の場でより実態に即した知的財産 権問題が話し合われるようになりました。TRIPS 協定に基づき、途上国の農産物輸出といった貿易上の他の分野の 問題と知的財産権の保護とを、ひとつの通商交渉として進めていくかたちです。また、同協定では参加国に対し、 知的財産の保護と権利行使について、各国の国内法の制定を義務として定めています。ルール違反に対しては経済 制裁という具体的な手段を講じることも可能なので、より実行力をもつ交渉の場として認識されてきました。  しかし近年 TRIPS 協定による知的財産権保護の強化に対し、自国発展のための技術導入コストの上昇を懸念す る途上国を中心に、不満や反対の立場を表明する国などは少なくありません。南北問題が深まる中で 160 程度ある 加盟国・地域の利害関係が複雑化する現状では、多国間によるルール作りが難しい状況が深まっています。

【FTA(経済連携協定)/ EPA(自由貿易協定)】

 FTA とは特定の国や地域の間で、物品等の関税や数量制限といった障壁を削減・撤廃し、貿易の自由化や円滑化 を通じて経済関係の強化を図ることを目的とする協定です。EPA は、さらに投資や労働力の移動、知的財産の保護 や競争政策におけるルール作りといったより幅広い分野を対象とした協定です。多国間によるルール作りが難航す る一方で、当事者間の合意によって取決めが可能な FTA や EPA の締結は、すでに発効済なものだけでも 300 件 近くに上っており、日本は当初出遅れた観がありましたが現在 EPA を中心に 16 件(2017 年 3 月現在 外務省 HP)が発効済・署名済となっています。

地理的表示(GI)の保護について

 地理的表示(GI)とはいわゆる地域ブランドのことを指します。EU では、対象となる農産物、食品(ワイン等 は別途の規則による)について基準に基づく登録制度があります。その品質を満たさない産物については登録名称 の使用を禁止するなどして、以前から GI の保護に熱心に取組んできました。その成果として、原産地の地名度は 世界的に向上して輸出が増加、ブランド価値の上昇による恩恵が生産者や消費者に及ぶ事例が多数生じています。

◇ EU 地理的表示具体例:◦プロシュート・ディ・パルマ(イタリア パルマ地域)、

◦シャンパン(フランス シャンパーニュ地域)

◦パルメザンチーズ(イタリア パルマ地方)

 GI は TRIPS 協定でも知的財産のひとつとして加盟国内での保護が明文化されています。

 日本でも海外への輸出促進につながることを期待して、平成 27 年 6 月に「特定農林水産物等の名称の保 護に関する法律(地理的表示法)」が施行されました。現在、◦夕張メロン(北海道夕張市) ◦大館とんぶ り(秋田県大館市) などの産品が登録されています。

 ご参照:農林水産省 HP「食料産業>地理的表示保護制度>登録産品一覧」      http://www.maf.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/

 GI については、国や地域による考え方の違いがあり、他の知的財産権のような国際登録制度や国際的な保護制度 の仕組みはなかなか進んでいません。そんな状況の中、FTA/EPA において特定の国や地域の間で GI の保護を積 極的に規定する動きがあり、日本政府も「地理的表示法」施行後、欧州に続き積極的な活用の方針を表明しています。

(8)

「知的財産権」は特許権や意匠権などの技術的創作物に関する権利や、著作権といった文化的創作物に 関する権利、商標権など営業標識に関する権利など、幅広い分野にわたっています。

 これらのうち、「商標権」「特許権」「意匠権」「実用新案権」は産業財産権と呼ばれ、権利を発生させるためには 特許庁への登録が必要となります。一方、「著作権」は著作物を創作すると同時に権利が生じます。

Q

3

日本では、どのような知的財産権がありますか

A3

●商品に存在する知的財産権の例

Ⅰ.知的財産権の概要

○「発明」を保護 ○出願から 20 年  (一部 25 年に延長)

○物品の形状等の考案を保護 ○出願から 10 年

○物品のデザインを保護 ○登録から 20 年

○文芸、学術、美術、音楽、プロ グラム等の精神的作品を保護 ○死後 50 年(法人は公表後

50 年、映画は公表後 70 年)

○半導体集積回路の回路配置 の利用を保護

○登録から 10 年

○植物の新品種を保護 ○登録から 25 年(樹木 30

年)

○ノウハウや顧客リストの盗 用など不正競争行為を規制

○商品・サービスに使用する マークを保護

○登録から 10 年(更新あり)

○商号を保護

○周知・著名な商標等の不正 使用を規制

○品質、社会的評価その他の確 立した特性が産地と結びつい ている産品の名称を保護

(技術上、営業上の情報)

信用の維持

創作意欲を促進

知的創造物についての権利等

営業上の標識についての権利等

特許権(特許法)

意匠権(意匠法)

実用新案権

(実用新案法)

商標権(商標法)

商品等表示

(不正競争防止法)

商号(商法)

著作権

(著作権法)

回路配置利用権

(半導体集積回路の回

路配置に関する法律)

地理的表示(GI)

(特定農林水産物の名称

の保護に関する法律)

育成者権

(種苗法)

営業秘密

(不正競争防止法)

産業財産権=特許庁所管

知的財産の種類

出所:特許庁平成 29 年度 知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト p.4」

GAME

ABC

ABC

デザイン (意匠権) 部品や機構、製造方法など

(特許権、実用新案権)

音楽、ゲームソフト カバーデザイン

(著作権) ブランド名 ロゴマーク (商標権)

(9)

日本が近代国家として歩み始めた直後、明治 2 年には著作権法の前身といわれる出版条例が制定されまし た。その後商標条例(明治 17 年)、専売特許条例(明治 18 年)、意匠条例(明治 21 年)、実用新案法(明 治 38 年)と、知的財産を保護する法律は次々に制定され、時代の要請を受けて変化を重ねて現在に至っています。

 2002 年には日本政府が「知的財産立国」を国家戦略として定めたことにより、知的財産の創造、保護及び活 用に関する施策を集中的かつ計画的に推進することを目的とする「知的財産基本法(2002 年 12 月 4 日に公布、 2003 年 3 月 1 日に施行)」が制定されました。

 知的財産基本法では、「知的財産」および「知的財産権」を以下のように定義づけています。

Q

4

日本において知的財産権はどのような法律によって

保護されていますか

A4

知的財産保護法

第 2 条

 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動に

より生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性がある ものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他 の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

2  この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知 的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 知的財産権はそれぞれの権利の性質に基づき、権利ごとの法律によってその目的や権利化の方法、保護の仕組み、侵 害時の罰則などが規定されています。たとえば特許権や実用新案権、意匠権は、より優れた発明やデザインを生み出さ せることを目的として法律が定められており、権利化の際にはその新規性が重視されますし、保護期間には限りがありま す。一方商標権は信用が蓄積されればされるほどその価値が上がるものなので、商標法では権利の登録時に新規制は求 められず、また10 年ごとの更新を繰り返すことによって、半永久的に商標権を維持することが可能な定めとなっています。

 ところで輸入については、財務省所管の税関が、関税法 第 69 条の 11 に規定された「輸入してはならない貨物」 に基づき知的財産権を侵害する物品の取締りを行っています(参照:本資料 Q5)。

関税法

(輸入してはならない貨物)

第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。

(10)

●知的財産に関する主な保護法とその体系

知的財産法の種類 所管官庁 備考

審査登録・権利付与型

特許法(特許権) 商標法(商標権) 意匠法(意匠権)

特許庁 特許庁 特許庁

特許庁に出願し、法律で定められた要件を満たし ているのかについて審査官による審査が行われる ので、権利として保護すべきものか否かを権利付 与の段階であらかじめ振り分けることが可能であ る。登録後に権利が生じる。業としての利益を保 護する。

無審査登録・権利付与型

実用新案法(実用新案権) 特許庁

書類と基礎的な要件審査によって登録される早期 登録制度が採られている。登録後に権利が生じる。 業としての利益を保護する。

無登録・権利付与型

著作権法(著作権、著作隣接権)文化庁

権利を生じるのに登録要件はない。

営業上の利益の侵害を要件とせずに差止請求が可能。

行為規制型

不正競争防止法 経済産業省

事業者間の公正な競争を阻害する不正競争行為を 定義(第 2 条)することにより、違法行為類型 を明確化。商標法や意匠法などによる保護が難し いところを保管する働きがある。

不法行為法 どのような行為が規制対象となるのかが明確では ないが、新たな事案に対して柔軟に対応できる。 損害賠償のみ。

契約による保護 当事者の意思に従った保護が可能であるが、第三 者に対しては効力がない。

※そのほか育成者権を保護する「種苗法(農林水産省)」、地域とその特性が結びつくような名称(地理的表示)を保護する「地理的表 示法(農林水産省)」、回路配置利用権を保護する「半導体集積回路の回路配置に関する法律」があります。

参考資料:経済産業省ホームページ内 不正競争防止法の概要(テキスト 2017) p.13

http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/unfair-competition.html 「(参考)我が国知的財産法の体系的整理」を参照し、ミプロにて作成

規制対象 行為の明 確性 大

規制対象 行為の明 確性 小

(11)

知的財産権侵害物品の日本への流入を防ぐため、いわゆる「水際の取締り」と呼ばれる輸入の取締りを行っ ているのは全国に設置された税関です。

 関税法では「輸入してはならない貨物」として、具体的には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、 回路配置利用権、育成者権を侵害する物品のほか、不正競争防止法に規定される周知表示の混同を惹起する物品、商品 形態模倣品、営業秘密侵害品などの輸入を禁止しています(関税法 第 69 条の 11)。

 税関ではこのような知的財産権を侵害する疑いのある物品の通関を差止めて、認定手続きを開始し、権利者と輸入者 両方の意見を確認しながら、輸入の是非について 1 か月以内をめどに認定することとなっています(参照:巻末資料 2  税関で行われる認定手続きの一般的な流れ)。

Q

5

知的財産権侵害物品に対する輸入時の取締りについて

教えてください

A5

●税関での取締り実績について

 税関の発表によると、平成 28 年の知的財産権侵害疑 義物品の輸入差止件数は 26,034 件(前年比 11.1%減) で、5 年連続で 25,000 件を超える高水準となっています。 その 9 割以上は中国からの輸入で、一極集中化の様子は 最近 10 年ほど変わりません。

 また、商標権の侵害を問われた物品の件数は差止めら れた物品全体のほとんどを占めており、品目としてはバッ グ類、携帯電話及び付属品、衣類、靴類が上位を占めて います。

輸入差止申立制度について

 税関では職務権限に基づく取締りと共に、水際の取締りを効率よく行うため、権利者から模倣品等に関す る情報提供を受付ける「輸入差止申立制度」を取り入れています。税関ホームページでは「輸入差止申立情報」 を公開しており、たとえばどのようなブランドの商標権について輸入差止めの申し立てが行なわれ、受理さ れているのかについて、誰でも確認することができます。

参照:税関 HP 内「知的財産侵害物品の取締り」

輸入差止情報 http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/sashitome.htm

コラム

輸入商品の到着を待っていたところ、税関より「認定手続開始通知書」が届いた、というとき…

税関では認定手続きを開始すると、輸入者等に「認定手続開始通知書」を送付します。 「よくわからないが、どうしたらよいか…」といった場合は、通知書に記載されている税関の

連絡先に問い合わせると、相談を受けてくれます。

「権利を侵害していない」と反論する場合には、期限内に必要な書類等を揃えてその旨を述べ ることになります。

62.3 26,034 69.0 29,274 89.6 32,060 62.8 28,135 111.8 26,607 97.9 19,591

■件数 ■点数

120 100 80 60 40 20 0 点数 (万点) 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 件数 (件)

平成 28 年 平成 27 年 平成 26 年 平成 25 年 平成 24 年 平成 18 年

(12)

(注 1)四捨五入しているため、構成比の合計が 100%にならない場合があります。 (注 2)各権利で保護されているものは、例えば以下のものです。

商標権:商標法に基づき商標登録された文字、図形等の「ロゴマークやブランド名」 著作権:創作されたキャラクターや音楽 CD 等の「著作物」(著作権法で保護) 意匠権:意匠法に基づき意匠登録された物品の形状、模様等の「デザイン」 特許権:特許法に基づき特許登録された「発明」

不正競争防止法で輸入が規制されているものは、例えば以下のものです。 ・広く認識されている他人の「商品等表示」との混同を生じさせるもの ・著名な他人の「商品等表示」を使用するもの

・他人の商品の形態を模倣するもの

・「営業秘密」として管理されている秘密情報の不正使用により生じたもの ・技術的に制限されているプログラムの実行を可能とする装置

(例:ゲーム機器において本来は使用することができない海賊版ソフトを使用できるようにする装置)

 輸送形態別の輸入差止め実績をみると、件数ベースでは郵便物が大半を占めていますが、点数ベースでは一般貨 物の占める割合が郵便物の占める割合を上回りました。1 件の輸入申告で大きな点数の権利侵害品が差止められた ことになります。

 税関のホームページではこのような輸入差止実績とともに、実際に輸入を差止めた商品の写真も数多く掲載され ています。取締り状況やどのような権利侵害品が存在しているのかなど、不正商品に関わる情報を得ることが出来 ます。

参照:税関 HP 内「知的財産侵害物品の取締り」

Ⅰ.知的財産権の概要

商標権 98.2%

不正競争 防止法 0.0% 特許権 0.2% 意匠権 0.3% 著作権 1.2% 特許権 0.0% 意匠権 0.1% 不正競争 防止法 0.2% 著作権 1.1%

商標権 98.6%

平成 28 年 平成 27 年

件数(件) 30,000

20,000 10,000

0

知的財産別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)

一般貨物 6.6%

郵便物 93.4% 一般貨物

6.5%

郵便物 93.5%

平成 28 年 平成 27 年

30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 件数 (件)

輸送形態別輸入差止実績構成比の推移(件数ベース)

郵便物 47.2% 一般貨物

52.8%

郵便物 69.8% 一般貨物

30.2%

平成 28 年 平成 27 年

70 60 50 40 30 20 10 0 点数 (万点)

(13)

「通関した商品は真正商品として認められたことになる」ということではありません。商品の真贋を鑑定できるの は原則として権利者だけですが、通関するすべての商品について権利者が鑑定しているわけでは当然ありません。  通関した輸入商品も含めて、国内に流通する不正商品の取締りを担っているのが警察です。

 警察庁より毎年発表される「偽ブランド品・海賊版の根絶に向けて!!」によると平成 28 年知的財産権侵害事犯の 検挙事件数は 594 件、検挙人員は 730 人となっています。商標権や著作権について侵害形態をみると、インターネット・ オークションやインターネットを利用するケースが、いずれの権利侵害事犯においても全体の 8 割以上を占めています。

Q

6

知的財産権侵害物品に対する販売時の取締りについて

教えてください

A6

税関や警察といった行政による取締りだけではなく、権利者による不正商品に対する 監視と権利行使も年々厳しくなっています。特にインターネット上での模倣品流通は、 BtoB、BtoC 何れの取引きにおいても世界共通の問題となっており、模倣品対策とし て水際の取締りと共にインターネット上の模倣品発見とその削除といった対策を重視す る権利者は少なくありません。

最近 10 年間における知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移

1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 (人)

H28 H27 H26 H25 H24 H23 H22 H21 H20 H19 700 600 500 400 300 200 100 0

(事件) 検挙事件数    検挙人員

N=304 その他 3.9% 露店 0.3%

フリーマーケット 0.3%

店舗 13.2%

インターネット 利用 27.3%

インターネット・ オークション

利用 54.9%

【商標権侵害事犯】

N=238 その他 2.1% 露店 4.2%

店舗 2.5%

インターネット利用 71.0%

インター ネット・ オーク ション利用 20.2%

【著作権侵害事犯】

商標権侵害事犯及び著作権侵害事犯の侵害形態(平成 28 年中)(事件ベース)

(インターネット利用は、インターネット・オークション利用を除く。)

出典:警察庁 HP「偽ブランド品・海賊版の根絶に向けて!!」

(14)

インターネットでの不正商品流通に対する取組み

 インターネット上で知的財産権侵害品の流通が拡大する状況は、日本でも政府が 2002 年に知的財産戦略 を打ち立てた当初から(参照:本資料 Q7)問題視されていました。

 2005 年 12 月には、権利者(団体)やインターネット上でサービスを提供するプラットフォーマーによる 自主的な取組みとして、「インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会(CIPP)」が設立されています。  「何よりも消費者の利益をまもるために権利侵害者に対して関係者は協同して立ち向かうべきである」との認識 に立ち、主として①プラットフォーマーによる自主パトロールの実施と、②権利者対応プログラムの運用を行って います。具体的にはサービスを提供するプラットフォーマーと権利者とがそれぞれ権利侵害品の出品についてパ トロールし、協力の下で該当する出品物の削除や必要となれば出品者 ID 削除といった対策を講じています。

ご参照:CIPP HP http://www.cipp.jp/

コラム

「民事」と「刑事」のちがい

 「商標権を侵害していると警告書が届き、「販売を止めないと法的措置を講じる」と書いてあります。販売 をやめれば罰金を払ったり、警察に行く必要はありませんか?」というご相談を頂くことがあります。  権利者から届く警告書で請求される輸入販売差止めは、商標法が権利侵害に対する民事上の救済方法とし て差止め請求権を認めていることに基づくものです。同法では権利侵害行為に対する損害賠償請求権や信用 回復措置請求権も認めており(参照:本資料 Q9)、警告書にある「法的措置を講じる」とは、このような民 事上の権利行使について裁判所に訴えを起こすことを指すことが多いと思われます。他方、同法では商標権 の侵害に対する罰金や懲役といった刑罰も規定しています(参照:本資料 Q14)。

 それでは、民事と刑事にはどのようなちがいがあるのでしょうか?

 民事とは、民間人と民間人との間で生じた、主に財産などが関係することです。当事者による解決が難し い場合には、裁判でお互いの意見を主張して裁判所の判断を求めることもありますし、裁判に至る前に和解 というかたちに終わることもあります。

 一方刑事とは、刑罰を定める法律に違反してその適用を受けることをいいます。知的財産権を侵害する行 為に犯罪性が認められると刑事事件として扱われることがあります。刑事事件では国家が刑罰を科すことに なりますので、警察や検察が介入して捜査を行い、裁判によってその刑罰の内容を決定することになります。

 知的財産権を侵害する行為は、民事事件にも刑事事件にもつながる可能性があります。その違いを理解す るとともに、トラブルに巻き込まれぬよう慎重に輸入ビジネスを進めるよう留意しましょう。

コラム

(15)

2002 年、日本経済を建て直して国際競争力を回復するために「知的財産」の活用を中核とした経済運 営を国家戦略として位置づける「知的財産立国」が、当時の小泉内閣総理大臣によって宣言されました。 その実現に向け立案されたのが「知的財産戦略」です。

 政府は当時、発明や創作活動を支援し(創造)、その権利を保護することで収益を確保し(保護)、さらにその収 益が次の発展につながるような創造活動に使われる(活用)、という 3 つの要素からなる、いわゆる「知的創造サ イクル」を柱として総合的な政策を進める、といった方針を定め、省庁横断の体制を構築して数々の政策課題にス ピード感をもって対策を講じてきました。

 たとえば不正競争防止法違反物品を輸入禁止品に追加したり、特許権や意匠権に対する輸入差止め申立制度の導 入など税関での水際の取締り強化などが、国家戦略として進められてきたのです。

Q

7

日本の「知的財産戦略」とは何ですか

A7

知的財産推進計画 2017

(2017 年 5 月 16 日知財戦略本部会合決定)全 184 頁の内容をほんの少し見てみましょう…

Ⅰ.第 4 次産業革命(Society5.0)の基盤となる知財システムの構築

AI やビッグデーターの活用促進を図るためには、複数の関係者の利害を適切に 調整する必要があることから、「デジタル時代において保護すべき創造性とは何 か」「企業や業界の垣根を越えた連携を前提とする知財制度のあり方」といった 根本的な問いに立ち返りつつ、第 4 次産業革命に適応する知財システムを検討し、 構築する(IoT 関連特許の新設、審査事例の公表といった特許審査体制の整備と 強化、営業秘密保護の強化など)。

Ⅱ.知財の潜在力を活用した地方創生とイノベーション推進

独自技術を持つ中小・中堅企業や、農林水産業・食料産業の製品等のブランドや事業価値の向上を図るた めに知財活用に対する意識を高めること、小学校から高等教育機関での知財教育の推進を行う(地理的表 示(GI)の国内外での保護や農林水産分野への知財に関する相談体制の充実、新学習指導要領における知財 教育の充実など)。

Ⅲ.2020 年とその先の日本を輝かせるコンテンツ力の強化

2020 年とその先まで見据えたコンテンツ産業活性化に向けて、模倣品・海賊版対策を講じながら、マンガ、 アニメなどのコンテンツを食や観光などと結びつけて海外に積極的な展開を図る(映画産業の振興、書籍や 放送番組、メディアといった分野や地域を横断した国の統合ポータルを構築するための工程表作成など)。

ご参照:首相官邸 HP 知的財産戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/

(16)

次の法律用語について確認しましょう。

効力………法的に主張・行使できる権利の範囲のこと。

本資料では⇒それぞれの知的財産保護法の定める権利の範囲について、説明しています。

権利行使………権利を実際に使用すること

本資料では⇒権利者が権利侵害行為による被害を回復、あるいは侵害を停止・予防するために行う、侵害者(輸 入事業者)への対抗措置について説明しています。

過失………なすべき注意を怠ること、不注意

本資料では⇒輸入者に求められる注意義務を果たしたと認められず、損害賠償責任を負う可能性について説 明しています。

故意………どのような結果となるかを認識していること

本資料では⇒権利を侵害することを知りながら輸入販売した場合、損害賠償責任を負う可能性について説明 しています。さらには犯罪が成立し刑事罰を受ける可能性もあります。

準用………他の法律にある規定を、それと類似する場合に必要な変更を加えてあてはめること

本資料では⇒「権利者の権利行使」の項目で、特許法に規定される条文を、商標法や意匠法でも準用という かたちで規定していることについて、説明しています。

差止請求権………… 権利者が、占有する知的財産権を侵害する者またはそのおそれのある者に対し、侵害の停止、 予防を請求することができる権利。

本資料では⇒「権利者の権利行使」の項目で、輸入事業者が知らずに権利を侵害していたとしても、輸入や 販売を差止められること、在庫品などの廃棄処分を請求できることなどを説明しています。

損害賠償請求権…… 知的財産権の侵害は民法 709 条に規定された「権利侵害」に該当するため、故意または過失に よって権利を侵害する者に対して、権利者が損害の賠償を請求することができる権利。

本資料では⇒「権利者の権利行使」の項目で、不注意やそうと知って権利を侵害した輸入事業者に対し、請求 できることを説明しています。登録制度のある産業財産権は権利について事前調査が可能という こともあり、「過失の推定」(参照:本資料 p.25)が規定されています。さらに、真正品との比 較確認が容易な売れ筋商品であったこと、並外れた低価格での仕入れであったことなどの事実 があれば、不正商品の輸入販売に過失は認められず、損害賠償責任を負う可能性は高くなります。

不当利益返還義務… 民法 703 条に基づき、権利侵害という違法行為によって利益を受け、権利者に損失を及ぼした 場合に、その利得の返還義務が生じる。

本資料では⇒裁判によって輸入事業者等に金銭の支払いが生じた場合では損害賠償請求に基づくケースが多 いため、本資料では触れていません。しかし、故意、過失はないと認められた場合でも、利得 の返還義務が生じる場合があることに留意しましょう。

Q

8

知的財産権について学ぶ前に知っておきたい

法律の基礎的な用語について教えてください

Ⅱ.知っておきたい知的財産権の基礎知識

(17)

日本において商標権は、商標法によってそのあり方や保護について規定されています。

同法によれば、「商標」とは自己の取扱う商品や役務(サービス)を他人のものと区別し、その出所を 示すために、業として商品やサービスに付ける文字やマーク等です。「商標」を特許庁に登録することにより「商標権」 としての効力が生じます。商標権は信用の維持を目的とした営業上の標識に関わる権利なので、10 年の期限ごと に原則として何度でも更新して永久に権利を保持できるしくみとなっています。

 商標にはおおまかに次の 3 つの機能があると言われています。現在商標法において出所表示機能をはじめとする 商標の機能を保護することは前提となっており、裁判で権利侵害の有無について判断する場合、次の商標の機能を 損なう事実があったか否かが重要なポイントとなることがあります。

〈商標の機能〉

① 出所表示機能

標章をある者の商品(役務)に付すことにより、その商品又は役務の出所を表示するという商標の基本的な機能

② 品質保証機能

消費者等は同一の商標が付された商品(役務)に対して同一の品質を期待し、また事業者も商標に対するこの 期待に応えようとして生じる商標の機能

③ 広告機能

消費者等が商標を記憶し一定のイメージを持つことで、商品(役務)の購買・利用を喚起させるという商標の機能

●商標の登録

 商標法による保護を受けるためには同法に基づき特許庁に出願し、審査を受けて登録されることが必要です。主 な登録要件として、◎自己の業務において、現在あるいは将来使用する商標であること、◎自分(自社)と他人(他 社)とを区別できる識別性を持つ商標であること、◎公益阻害などの不登録要件に該当しない商標であること、が あります。また、商標には文字や図形、記号、立体的形状に加えて、色彩や動き、ホログラム、位置、音といった 種類があります。そのような「商標」ごとに、当該商標を使用する(予定を含む)商品や役務(サービス)を指定 して登録します。

Q

9

商標権について教えてください

A9

商標の国際登録制度(マドプロ出願)について

 商標権は権利を取得した国でのみ、その効力を発揮しますので(属地主義)、保護を受けるためには原則、 国ごとの手続きに従って当該国特許庁に直接出願し、権利化しなければなりません。

 しかしグローバル化とともに一括した手続きで複数の国に商標の登録出願ができる制度への要請が高まり、 マドリッド・プロトコル(標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書)が 1989 年に締約されました。 日本も 1999 年に批准しています。

(18)

●商標権の効力

 商標法では「商標権者は、指定商品又は指定役 務について登録商標の使用する権利を専有する (第 25 条)」と規定しています。さらに商標権の 効力は、他人が指定商品又は指定役務と類似する 商品や役務についての使用を排除することができ る権利(禁止権)にも及びます(第 37 条 1 号)。

※「防護標章登録制度」

 著名なブランドなどは、たとえ登録商標が指定 商品等と非類似の商品等に使用されていたとして

も、消費者が出所を同じところとして混同する可能性があります。そこで、著名な商標を保護する「防護標章登録 制度(第 64 条)」があります。特許庁がその著名性を認めて防護標章として登録を認めると、指定商品(役務)に ついて非類似の部分(図※部分)にも商標権の効力が及ぶことになります。

 防護標章として登録されている商標は J-PlatPat の商標検索画面にある「日本国周知・著名商標検索」にて調べ ることができます。

登録商標を特許情報プラットフォーム J-PlatPat(ぷらっとぱっと)で調べてみましょう

 J-PlatPat は、日本にて出願・登録された産業財産権(商標権、特許権、実用新案権、意匠権)の情報を検索す ることができるデーターベースサービスで、現在独立行政法人工業所有権情報・研修館のウェブサイト上で無料提 供されています。

 J-PlatPat は誰でもアクセスできますし、中でも商標はその文字や読み方を入力する、あるいは図形として検索 することにより比較的簡単に国内の登録状況についてある程度の情報を得ることができます。検索方法については J-PlatPat のホームページ上にマニュアルが提供されており、電話での問い合わせ先もあります。

 これから取扱うつもりの輸入商品名などについて日本では他者の商標権がすでに存在していないだろうか、 あるいは自身の輸入ビジネスは並行輸入にあたるのだろうか、などを確認するために、登録商標の有無を確 認することは重要です。まずはご自身で検索してみてはいかがでしょうか。

 ただし J-PlatPat を利用して自身で検索した結果登録商標の存在が確認できなかった場合でも、検索の仕方に よって洩れているだけで実は商標権が存在する可能性もあります。必要に応じて弁理士(参照:巻末資料 1 知的 財産権に関する情報・相談先)に調査を依頼し、コストをかけてより確かな情報を得ることも検討しましょう。

参照:J-PlatPat HP ⇒ https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage ミプロ資料:「初心者のための商標権を学ぶ」

コラム

Ⅱ.知っておきたい知的財産権の基礎知識

登録防護標章例:

登録番号:1112194 登録番号:0106633

商標権の効力が 及ぶ範囲

指定商品又は役務 同一 類似 非類似

商標

同一 ○ ○ ※×

類似 ○ ○ ×

(19)

●商標権の侵害と権利者の権利行使

 権利者または権利者より許諾を得た者以外が「商標権の効力」の及ぶ範囲において登録商標を使用することは、そ の商標権を侵害する行為となります。商標法で定義する「商標の使用」とは、登録商標を商品やその包装、サービス に付けることのほか、当該商品等の販売、提供、配布、レンタル、さらにはそのような行為を目的とした輸出入、展示、 広告、といった行為に及びます。つまり輸入販売ビジネス上行うことは大方、商標の使用にあたることになります。  権利者は権利を侵害する者、あるいは侵害するおそれのある者に対し、その侵害の停止や予防を請求すること、つま り不正商品の輸入や販売の差止め、廃棄を求めることができます。この「差止請求権(第 36 条)」は、例えば輸入事業 者が不正商品とは知らずに輸入販売していたとしても行使されることになります。また輸入事業者としてなすべき注意を 怠っていたり(過失)、あるいは不正商品と知って輸入販売していたり(故意)した場合には、権利者に損害賠償請求権(民 法 709 条)が認められます。さらに商標法第 39 条では特許法に定められる「信用回復措置請求権(106 条)」とともに、 「過失の推定(第 103 条)」についても準用することが規定されていることに留意が必要です(参照:本資料 Q11 p.25)。  ただし、たとえば自己の会社名と同一の登録商標があった場合でも、その会社名を示すものとして使用する範囲 において表示する場合など、商標権の効力が及ばない範囲があります(第 26 条)。

怠ると「過失」となる「輸入事業者としてなすべき注意」とは

 輸入事業者にとって損害賠償責任は大きなリスクのひとつです。輸入事業者としてなすべき注意について、どのように考えた らよいのでしょうか?

 裁判例などをみると、輸入事業者のなすべき注意には高い内容が求められています。たとえば『真正品であれば通常考えられ ない低い価格で仕入れている』ケースや、『仕入れ先から間違いなく真正品であると言われている』程度の確認、『商標権者が販 売してもよいと書いている契約書の一部を見せてもらった』だけで内容を全く精査していないケースなどでは、なすべき注意を 果たしており過失はないので損害賠償責任を負わなくてもよい、と裁判所が認めることは難しいでしょう。特に並行輸入品やイ ンターネットで流通する商品に紛れ込む模倣品の数が少なくないことは周知の事実であり、輸入事業者はその前提の中でビジネ スを進めていると認識し、模倣品を扱わぬようできる限りの努力をすべきと考えられています。さらに、侵害者側に過失がある とする前提(過失の推定)に対して、輸入事業者は「注意できることはすべて確認したので今回模倣品を輸入販売したことに過 失はない」と反証する必要があります。

 模倣品を見極めるために真正商品に関する情報や市場での取引価格、模倣品の流通状況を収集する、仕入れ先の信頼性、ある いは仕入れ先以前の流通ルートを確認する、などに努め、その取組みを提示できるかたちで保管しておくことを心がけましょう。

コラム

権利侵害と商標的使用について

 商標権を持たない者が無断で登録商標を「使用」することは、商標権侵害となります。他方、商標法が意 図する「使用」に相当しなければ、権利侵害は成立しないとの考え方があります。たとえば商標の出所表示 機能を阻害してはいない商標の使用であるという理由で、登録商標の無断使用が商標権侵害とはならなかっ た裁判例があります。例)巨峰事件 福岡地方裁判所 昭和 46 年 9 月 17 日判決 など

コラム

消費者に対する商品の説明表示の範囲であれば商標的使用には当たらな いとして、権利侵害であると必ずしもいえないと思います。ただし、製 造者名をわかりやすい場所や大きさで表示するなど、消費者等が商品の 出所について誤認しないよう留意することは必要ですね。

(20)

Q 日本で販売したい輸入商品があります。商標権を侵害しないようにどのような注意が必要ですか?

A  当該輸入商品が並行輸入品となる場合、商品の真贋について確認するとともに日本で流通している商品との品

質の同一性や内外権利者の同一性についても注意する必要があります(参照:本資料 Q15、16)。また輸入商 品に付されているメーカー名や商品名などが、たまたま日本の他社の登録商標の効力の範囲にあった場合には、 その海外ブランドを日本で使用することは原則できませんので、変更が必要となります。

まずはご自身で輸入商品に付されている商標について、日本の登録商標に存在するかどうかを特許情報プラッ トフォーム J-PlatPat で調べます。検索漏れの可能性や類似範囲の判断などを考慮した場合、コストは生じま すが必要に応じて商標権に詳しい弁理士に調査を依頼することも検討しましょう。その結果に基づき、権利侵 害リスクについて検討することが必要です(参照:本資料 Q17)

Q  特許情報プラットフォーム J-PlatPat で調べたところ、似たような登録商標がありました。その指定商品は子 供服で、私が使用したい商品は仮装用衣装です。当該商標の使用はあきらめなければなりませんか?

A  商標権の効力の範囲は前述のとおりです。あなたが使用したい商標が他者の登録商標の効力の範囲に入ってい

るかどうかについて、特にその類似性について判断する場合には、商標に詳しい弁理士の力を借りる必要があ ります。費用をかけて弁理士に相談をしたことにより、あなたは当該商標を仮装用衣装に使用できるかもしれ ません。しかし、費用をかけることが難しいということであれば、ご自身による J-PlatPat での検索で似たよ うな登録商標を見つけた時点で、使用をあきらめてリスクを避けるというのもひとつの選択となります。 リスクや費用については、まずは日本弁理士会が常設する無料相談などを利用してもよいでしょう(参照:巻 末資料 1.知的財産権に関する情報・相談先)。

よくある

Q

A

® 表示、TM 表示について

 商品に付された商標に、「®(Registered Trademark)」や「TM(Trademark)」があわせて表示され ていることがあります。

 日本の商標法では、商標を商品等に表示する場合、登録商標であることをその登録番号とともに付して表 すよう努力義務規定があります(第 73 条)。しかし商品に登録番号等を表示するスペースがないなどの理由 により、代わりに ® マークを付けることがあります。® マークによって、「当該商標は登録済で商標権が存在 します」とアピールしているのです。

 一方 TM マークはまだ登録されていない商標と併せて表示されているようです。「現在出願中です」、ある いは「商標としてわが社が使用しています」と主張したいときには、TM マークを付していることがあります。  権利侵害トラブルを避けるために、® 表示、TM 表示がある商品の取扱う場合には、このようなメーカー 等が表示している意図に留意しましょう。

コラム

Ⅱ.知っておきたい知的財産権の基礎知識

(21)

「意匠」つまりデザインは、製品の付加価値を高める要素として近年改めてその重要性が認識されてい ます。そのデザインを保護する代表的な権利が意匠権です。日本において意匠権は、意匠法がそのあり 方や保護について規定しています。意匠法の目的は特許法や実用新案法と同じく「産業の発達に寄与すること」と 謳われており、この目的に立って意匠権が保護されることになります。同法で定義する意匠とは以下のとおりです。

①物品と認められるもの…意匠法上の物品は、有体物であり、動産であるものでなければなりません。

②物品自体の形態…たとえばネクタイの結び目の形態はネクタイ自体の形態とは認められません。

③視覚に訴える者…視覚すなわち肉眼で認識される者でなければなりません。

④視覚を通じて美観を起こさせるもの…機能、作用効果を主目的としたもので、美感をほとんど起こさせないもの は意匠とは認められません。

(特許庁平成 29 年度 知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト p.53 より抜粋)

 意匠権の存続期間は設定登録から最長 20 年です(平成 19 年 3 月 31 日以前の出願は最長 15 年)。

●意匠権の登録

 意匠法による保護を受けるためには同法に基づき特許庁に出願し、審査を受けて登録されることが必要です。意 匠が登録される要件として、工業的な手段で反復して量産できること、新規性を備えていること、公になったデザ インをもとに容易に創作できたデザインではないこと、公益性に反しないこと、などが挙げられます。登録出願は 経済産業省令で定める物品の区分にそって意匠ごとに行います(一意匠一出願の原則)。また、意匠権とは創作者 に生じるもので、その譲渡が可能です。意匠登録を出願できるのは創作者またはその権利を譲渡された者(法人) となります。たとえば海外でデザインされた商品の意匠を日本で第三者が無断で登録することはできません。  意匠法では通常の意匠登録とともに、部分意匠制度、関連意匠制度、組物意匠制度、秘密意匠制度などニーズに 応じたさまざまな意匠制度を定めています。

Q

10

意匠権について教えてください

A10

工業的な生産過程によって量産できないような観賞用の植物や絵画などの美術品、すでに雑 誌やインターネットなどに掲載されているデザイン、既存の何かに似たような誰もが簡単に 思いつくデザインなどは、意匠登録を受けることはできません。

意匠権は、物品とその形態(意匠)ごとに成立します。つまり、同一の意匠であったとしても物品が 異なるならば別々に出願する必要があります。あるいは、登録意匠と同一・類似する意匠であったと しても、物品が同一・類似の範囲になければ、その登録意匠の権利を侵害していることにはなりません。

(22)

◎部分意匠制度とは?

 物品の全体から物理的に切り離すことのできない部分 の意匠について登録することができます。たとえば持ち 手に特徴ある掃除機全体のデザインを意匠登録した場合 の効力は、その持ち手を模倣しつつ他の部分のデザイン を異なる形にした商品には及びません。しかし持ち手を 部分意匠登録した場合、当該商品に効力を及ぼすことが できます。

◎関連意匠制度とは?

 ひとつのデザインにバリエーションのデザインがある 場合、一定の条件の下本意匠に類似する意匠を「関連意匠」 として併せて登録することができます。関連意匠を取得 することで、登録意匠の範囲を広めることができます。

◎秘密意匠制度とは?

 通常出願意匠が登録されると意匠公報にデザインが公表されるところ、模倣を避けるために最長 3 年を限度とし て登録意匠を秘密にすることができます。

意匠の国際登録制度(ハーグ国際出願)について

 意匠権は権利を取得した国でのみ、その効力を発揮しますので(属地主義)、保護を受けるためには原則、 国ごとの手続きに従って当該国特許庁に直接出願し、権利化しなければなりません。

 日本企業の国際競争力を確保するために製品のデザインについて意匠権を国内外において取得・活用する ことの重要性が増している中で、日本でもハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度の 利用が 2015 年 5 月より可能となりました。

 出願人は意匠権を取得したい国を指定し、WIPO 国際事務局に直接、あるいは日本特許庁経由で出願します。 WIPO 国際事務局が書類の方式審査を行った結果問題がなければ国際登録されます。指定された国の官庁は 国際登録された商標について、自国での保護を与えるか否かを審査して WIPO に通報しなければなりません。 拒絶の通報がなければ、その商標は指定国の官庁に直接出願し登録された場合と同様の保護を受けることが できるという仕組みです。

●意匠権の効力

 意匠法では「意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する(第 23 条)」 と規定しています。同規定にあるとおり意匠法では登録意匠と同一の場合だけではなく、類似する範囲においても「専 用権」を認めています。この点、商標権(参照:本資料 Q9)や特許権(参照:本資料 Q11)、実用新案権と異なります。  また、意匠の実施については「意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、 又はその譲渡若しくは課渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為をいう(第 2 条 3 項)」と

Ⅱ.知っておきたい知的財産権の基礎知識

意匠登録第 1303974 意匠にかかる物品 運動靴

意匠の説明:実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。

(23)

●意匠権の侵害と権利者の権利行使

 権利者または権利者より許諾を得た者以外が「意匠権の効力」の及ぶ範囲で登録意匠を実施することは、意匠権 を侵害する行為です。また、直接権利を侵害しなくとも、たとえば模倣品などを製造するためだけに用いる金型な どを作ったり販売したりすること、模倣品そのものを販売したりレンタル等するために所持していることも、意匠 権を侵害するおそれがあるとして侵害行為とみなされます(第 38 条)。

 意匠権においてビジネス上難しい問題となるのは、形態(意匠)も物品も登録意匠と同一であるというデッドコ ピーのようなケースより、類似に関する判断を必要とするケースでしょう。

 類似に関する判断は登録出願をする場合や、権利の行使あるいは侵害の可能性を検討する場合に必要ですが、ある 程度の知識やノウハウを持たずに検討することは難しいでしょう。特許庁による意匠審査基準や裁判例で示される類似 判断の手順を大変大まかにまとめると、【物品の同一・類似性を確認した上】で、【形態の共通点・差異点の整理やその 評価をする(注意を引く部分であるか、機能的な意味など)】→【意匠全体としての類否を判断する】となります。また、 このような検討について、意匠法では「登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通 じて起させる美観に基づいて行うものとする(第 24 条 2 項)」、つまり消費者等の目線を持って行うと規定しています。

 権利者は権利を侵害する者、あるいは侵害するおそれのある者に対し、その侵害の停止や予防を請求すること、つまり 不正商品の輸入や販売の差止、廃棄を求めることができます。この「差止請求権(第 37 条)」は、例えば輸入事業者が不 正商品とは知らずに輸入販売していたとしても行使されることになります。また輸入事業者に求められる注意義務を怠っ ていたり(過失)、不正商品と知って輸入販売していたり(故意)した場合には、権利者に損害賠償請求権(民法 709 条) が認められます。意匠法第 40 条では「過失の推定」が規定されており、例えば不正商品を取扱わぬよう必要な注意を十 分に払っていたことを輸入事業者側が証明しなければ、損害賠償責任を負うことになります。意匠法第 41 条では、特許法 106 条に定められる「信用回復措置請求権」の準用が規定されていることにも留意が必要です(参照:本資料 Q11 p.25)。

留意したい商品デザインを保護する知的財産関連法規について

 商品の工業デザインを保護する知的財産権としてまず考えられるのは、意匠権です。

 商品のデザインが、日本に意匠権として登録されている同じ物品のデザインと同一、あるいは類似する範囲に重 なっていないかについて確認することが、他者のデザインに存在する意匠権を侵害するリスクについて確認する 第一歩となります。しかし、以下についても注意が必要です。

●商標権(立体商標) → 参照:本資料 Q9

商品の形状が立体商標として登録されている場合があります。(例:香水等容器、バッグ金具、ハンドバッグ、運動靴、 キャラクター人形など)

●不正競争防止法(形態模倣行為、周知表示混同惹起行為) → 参照:本資料 Q13

日本で同一形状をした商品がすでに流通していた場合、日本での意匠権の有無に関わらず、不正競争防止法に規定さ れる形態模倣行為(第 2 条一項 3 号)に該当する可能性があります。ただし、日本で既存の商品が販売されてから 3 年が経過していた場合には、この限りではありません。また、パッケージデザインなどにおいて、日本国内で一定 の範囲で消費者などが周知する商品と似ているので混同が生じてしまうような状況が生じた場合、同法に規定される 周知表示混同惹起行為(第 2 条一項 1 号)に該当する可能性も有ります。(例:婦人服、バッグ、包丁研ぎ器など) ●著作権 → 参照:本資料 Q12

日本では工業デザインはこれまで著作権の保護範囲の外にあるとの考え方が主流でしたが、平成 27 年に乳幼児用の椅 子のデザインについて著作権を認める高等裁判所の判決がありました。著作権は登録をその権利発生要件とせず、保護 期間も50年と長くなります。製品デザインに対する著作権の保護の動向には今後留意する必要があるといわれています。

参照

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